May 14, 2010

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 【ロンドン=木村正人】米国からアジア、欧州と世界を一周した反格差社会デモはインターネットの威力とともに「親より貧しい世代」の不満がくすぶっていることを浮き彫りにした。大きな家や高級車は届かぬ夢となり、授業料の値上げや就職難という現実が目の前に立ちはだかる。未来に希望を抱けなくなった若者世代が景気低迷や債務危機をきっかけに構造的矛盾に気づかされ、世界中の街頭で反乱を起こした格好だ。

 国際コンサルタント会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が最近、英国の「1963年生まれ」と「93年生まれ」の世代の所得を比較したところ、65歳の時点で93年生まれは25%、金額にして40万ポンド(約4900万円)も63年生まれより貧しくなるという結果が出た。

 第二次大戦が終了した46年から60年代半ばまでの出産ブーム時代に誕生した「ベビー・ブーマー世代」は無料の教育費、緩やかに上昇する不動産市場などの恩恵を享受できた。これに対し、その後の「バスター世代」は目先の大学授業料値上げだけでなく、不動産バブル崩壊、将来の年金削減に直面するとPwCは分析する。

 今年4月の米世論調査会社ギャラップの調査でも、55%の米国民が「所得・住宅・教育面で子や孫の世代は自分たちの世代より貧しくなる」と答えていた。

 7〜8月に英BBCラジオ番組で「親より貧しい世代」を特集した米国出身の人気財務コンサルタント、アルビン・ホール氏は「若者たちは親世代は幸運だっただけと考え、自分を取り巻く環境にひどく怒っている。革命が起きてもおかしくないと語る親世代も少なくなかった」と報告した。

 スペインでは若者世代の失業率が43%に達するなど、金融・経済危機の後遺症をひきずる先進国では、15〜24歳の失業率は25歳以上の3〜4倍にのぼる。

 高齢化で年金や医療費の予算が膨らみ、各先進国は財政赤字を埋めるため国債を大量発行。一方で財政健全化に教育費など将来世代への投資を削っている。

 英国では大学授業料が約3倍の年9千ポンドに値上げされ、昨年12月に若者の暴動が起きた。イタリアでは大学予算削減やスキャンダルまみれのベルルスコーニ首相に対する若者の不満が渦巻いている。

 世代間の経済格差に気づかされた若者が自分たちの声を政治に反映させようにも人口構成上、有権者の中では少数派にとどまり、街頭を占拠して声を上げるしか道がない。インターネットを通じた「Occupy(オキュパイ=占拠せよの意)」という呼びかけに欧州やアジアの若者が一斉に反応したのは、構造的な矛盾へのいらだちを共有しているからに他ならない。

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 日本と台湾の間で相互の投資を保護、促進、自由化する投資協定「日台民間投資取り決め」が9月に締結され、日台関係に「新時代」が開幕したことを印象付けた。17日には、中国進出を視野に入れた日台合作アニメ「孫中山」の制作契約も発表される。日台関係の進展の背景には、東日本大震災後の友情の共鳴に加え、台頭する中国との関係をめぐる東アジアの情勢変化があった。(台北 吉村剛史)

 「『忍ぶ恋』の時代は終わった。もう堂々と恋文が出せる関係だ」

 9月23日、台北で開かれた日台交流のレセプションで、台湾側の交流窓口、亜東関係協会の彭栄次会長は、前日の取り決め締結を受けてこう表現した。

 日本統治時代の教育を受け、日台関係を「兄弟」に例える彭会長は「東日本大震災に台湾が寄せた巨額の義援金の前では、2人の間柄に誰も文句がつけられなくなった」ともいう。当然、中国も含めて、という意味だろう。

 事実、震災支援は台湾の民衆が中心となった。世界11カ国・地域に店舗展開するコンビニエンスストア「セブンイレブン」が6月に発表した店頭義援金額によると、1位は台湾で約3億368万円。2位の米国・カナダ(約6534万円)、3位のタイ(約1600万円)とは桁違いだった。

 激励の嵐に見舞われた日本側の窓口機関・財団法人交流協会台北事務所の今井正代表も「友情の大合唱ともいえる状況がおきた」と話す。日台は震災を機に「絆(厚重情誼)」イニシアチブを結び、交流の輪は今も広がり続けている。

 一方で、日台関係の急速な深まりは、中国との微妙なバランスの上に成り立っているのも事実だ。

 「内国民待遇」「最恵国待遇」などを柱とする投資取り決めの締結で、日台企業双方の狙いは、台湾を拠点に連携して、急成長する中国市場の開拓に乗り出すことにある。

 台湾は中台間でも自由貿易協定(FTA)にあたる経済協力枠組み協定(ECFA)を締結し、特定品目の段階的な関税引き下げが始まった。“後ろ盾”の米国の影響力に陰りが見える中、「日台の利害が『中国の時代』で強く一致した」と台湾の財界人もいう。

 アニメ「孫中山」の日台合作も、台湾資本が50パーセント以上なら、「年間約50本」という中国の外国映画の輸入制限が免除されるという規制緩和に伴う動きだ。9月には講談社と城邦媒体集団の出版大手同士で合弁会社設立を発表。人気漫画の中国語による電子配信などをめざしている。

 一方で、日台の結びつきとともに「台湾側の対中対話は、ますます難易度が高くなる」と馬英九政権中枢の一人は解説してくれた。

 中台の民間窓口機関によるトップ会談は、当初8月開催の予定が10月20日に延び、目玉の投資保護協定は持ち越しに。同調するかのように、日台の航空自由化(オープンスカイ)協定も足踏み状態だ。一部には「時間切れで来年1月の台湾の総統選後をにらむ段階に入った」という見方も。

 ただし、独立志向が強い最大野党・民主進歩党の蔡英文主席も、対中対話を見すえて「現状維持」を前面にスタンスを軟化。「選挙結果で日中台の関係が芯からゆらぐことはない」というのが大方の見方だ。

 今年はくしくも第二次大戦後、日本が主権を回復し、同時に台湾の領有権を正式に放棄したサンフランシスコ平和条約の調印から60周年。還暦を機に始まった日台の新時代について、日本の外交官OBの一人は「東アジアに精密な均衡による新秩序が誕生した年となった」と分析している。

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